返せる金額から借りる金額を計算する
借入可能額が返済可能額とは限らない
住宅ローンを借りるときに、多くの場合「借りられる金額」と「無理なく返済していける金額」には、その額面に大きな差があるものです。
住宅ローンを借り入れるさいには、幾らまでであれば、自分が無理なく返済していける金額なのかを、しっかりとシミュレーションすることがとても大切です。
住宅ローンを融資する金融機関で、収入の基準について「年間返済額は年収の30%以内」としているのは、「年収の30%以内程度であれば、借り主は無理なくローンを返済していけるだろう」という金融機関の判断があるからです。
しかし、融資先の金融機関がそういう基準を作っているのだから、限度額いっぱいまで借りても大丈夫、と安易に判断するのは考え物です。
なぜなら、ここでいう年収とは、あくまでも税金や社会保険料を含めた給与の額面金額のことで、実際のローンの支払いは、税金や社会保険料を払った後の手取り金額の中でやりくりすることになるからです。
このため、限度額まで借りてしまうと、いざ実際の返済が始まったときに、金銭的な余裕が無くなってしまうのです。
額面金額では返済負担率が30%以内であったとしても、手取り金額で計算しなおすと、40%近くまでになってしまうのです。
特に、子供がいる家庭でこのペースで住宅ローンの返済をすると、将来的な教育費の負担によって家計が破綻してしまう恐れが大きくなります。
では、無理なく返済できる借入金額の目安はどのように考えるべきなのでしょうか?
基本的には、毎月この程度なら払っていけるだろうという金額から毎月返済額を考え、その上で借入可能額を計算します。
毎月返済額の具体的な求め方は、購入前の家賃を参考にする方法がおすすめです。この際、購入後には住宅の維持費も忘れず計算に入れておくことがポイントです。
毎月返済額は手取り月収の25%以内に
今の家賃が適正であるかどうかの自信がない人であれば、毎月返済額が月収の手取りに占める割り合いで考える方法もあります。
理想的な毎月返済額の割合は、月収の手取り金額の30%以内で、子供のいる家庭では、教育費との兼ね合いから25%以内がおすすめです。
年収ではなく月収を基準に考える理由はボーナスにあります。これからの時代は、いつボーナスがカットされるか分からない時代といえますが、ローンの返済を考えたときに、ボーナスをあてにした返済プランを立ててしまうと、いざボーナスがなくなったときに非常に困ることになるからです。
さらに注意したいのは、借入金額の計算に使う金利です。
いくら毎月返済額を理想的な割合に納めることができたとしても、借入金額の計算に使う金利が適正でなければ、正しい借入金額の見積はできません。
変動金利などで一時的に低いものであった場合、将来の金利上昇も考えると、本来の返済能力より多めに借りてしまうかもしれません。
変動金利型や短期間の固定金利選択型の利用を考えているのならば、将来の金利上昇も考えて、実際に借りる金利よりも少し高めにして試算するといいでしょう。
便利なシミュレーションサービスの活用
毎月の住宅ローンの返済に回せる金額のメドが立ったら、その数字をもとに借入可能額が試算できます。
計算には、各金融機関のホームページなどにある住宅ローンのシミュレーションサービスを活用するといいでしょう。
たとえば、住宅金融支援機構「フラット35」のウェブサイトにある「ローンシミュレーション」のコーナーには、「毎月の返済額から借入可能金額を計算するサービス」があります。
このボタンを選択して、毎月の返済額や金利、返済期間などを入力すると、瞬時に借入可能額を計算することができます。
注文住宅のイメージづくりは、モデルルームや住宅展示場巡りから入ってしまいがちですが、事前にシミュレーションして、予算の概要を決めておくことで、現実的なプランがたてやすくなります。