注文住宅の屋根材。いったいどれを選べば良いの?
厳しい風雨や紫外線から建物を守り、注文住宅の寿命をも左右する大切な部分が屋根です。
しかし、屋根は住居スペースとして実際の暮らしで触れる部分でないため、どうしても優先順位が下がりがちです。
予算がオーバーしたときなど、コストダウンの対象として屋根材の変更を検討される方も多くおられます。
ただ、上でも触れたように、屋根は厳しい自然から住宅を守ってくれる大変重要なものです。
後になって屋根の重要性に気付き、後悔しないためにも、屋根材の特徴、それぞれのメリット・デメリットを把握し、屋根材を選んでもらいたいと思います。
コロニアル
注文住宅で最も採用されている屋根材がコロニアルです。
コロニアルはセメント基材とパルプ繊維を強固に結合させて作られた素材で、5mm程度の薄い板状の瓦のことです。
昔はアスベストがパルプ繊維の代わりに使われていましたが、現在はアスベストの代わりに補強用の超微粉末剤を使用し、強い粘りと耐久性を誇ります。
実際に雨漏りを防ぐのはコロニアルの下に引かれているルーフィングシートです。ルーフィングシートの耐久力はコロニアルに劣るため、定期的なメンテナンスが必要になります。
コロニアルのメリット
コロニアルのメリットは、価格の安さと施工のしやすさ、30年という長い耐用年数でしょう。屋根材としては、非常にコストパフォーマンスの高い素材と言えます。
また、グレードやカラーバリエーションも豊富で、さらに軽量なので地震が起こったときの安全性も高く、さらに工期が短い、施工に対応できる業者が多いなど、多くのメリットを持ちます。
コロニアルのデメリット
デメリットとしては、質感やデザインに物足りなさを感じる可能性がある。さらに10~15年ほどで塗り替えなど、定期的なメンテナンスを必要とする点です。
また、厚さが5mmと薄いため、人が登ったときなど重さが加わると割れることがある、コケやカビが生えやすいというデメリットもあります。
ガルバリウム鋼板
近年、屋根材として採用が増えているのがガルバリウム鋼板です。
以前はカラー鉄板(トタン)が良く使われましたが、耐久性に優れていることからガルバリウム鋼板の採用が増えているようです。
最近は戸建て住宅用として裏側に断熱材が充填されたものもあり、幅広いラインナップから選択できるようになっています。
ガルバリウム鋼板のメリット
ガルバリウム鋼板はその高い耐久性に反して軽量で、地震が起きた際にも高い安全性を発揮します。
また、保護被膜に覆われサビにも強く、耐候性に優れています。
この保護被膜は、経年による劣化防止のために塗り替えが推奨されており、大体20年程度での塗り替えがおすすめです。
メンテナンスへの負担も軽減されるため、葺き方の多様性と豊富なカラーバリエーションによって、和風から洋風まで多種多様なタイプの住宅にマッチするのも大きなメリットです。
ガルバリウム鋼板のデメリット
デメリットとして、強い雨が降ったときの音の反響が大きい点です。
コロニアルと同様、断熱性を高めるために断熱材が充填された商品もあり、それを採用することで音を抑えることが可能です。
価格的にはコロニアルに比べ高い傾向があります。
瓦
古くから日本の家屋に使われている瓦は非常に耐久性に優れており、数百年前のものがいまだに形を保っているものがあるほどです。
重量があるため、地震に対しては不安がありますが、日本の家屋にマッチした風合いは寝ず良い人気があり、洋風瓦を含めると屋根材で最も高いシェア率を誇っています。
瓦屋根の見た目の良さと佇まいは多くの人を魅了しています。
瓦のメリット
瓦は非常に高い耐久性を誇り、ほぼメンテンスの必要はないと言っても良いくらいです。
数百年の前の建物が現存しているのも、屋根材として耐久性の高い瓦が使われていることも無関係ではありません。
イニシャルコストは高いですが、長い目で見るとコストパフォーマンスに優れた屋根材と言えます。
瓦のデメリット
瓦はイニシャルコストが高く、その点がデメリットとして挙げられます。
本物の和瓦は非常に耐久性が高いのですが、それに比例して価格も高くなります。
また、非常に重い屋根材のため、耐震性を考慮した場合には建物自体の強度を高めることが必須となります。
素材自体の耐久性は高いのですが、のし瓦部分の漆喰は経年劣化によるメンテナンスを必要とするのもデメリットでしょう。
銅板屋根
銅板屋根も瓦同様、日本古来の屋根材として使われてきました。
銅が持つ特性と日本の風土・気候の相性の良さがその理由です。
また、独特の色合いを持ち、銅が錆びることで出る青緑色は「緑青」と呼ばれ、自由の女神にも取り入られるほど魅力的な色合いを生み出してくれます。
ただ、近年では一般住宅の屋根材として採用されることは非常に稀になっています。
銅板屋根材のメリット
銅板屋根は非常に軽く、数奇屋建築など深みのある和の趣が得られることが大きなメリットです。
気候や気温にもよりますが、きれいな緑青がでると非常に味わい深い佇まいになるのも魅力です。
また、柔軟性に富み加工性が高いため、優美な曲線を施した屋根形状を作ることが可能です。
メンテナンスも基本的には不要で、耐久性が50年以上になることも特筆すべき点でしょう。最低限のメンテナンスをおこなうだけで100年以上使い続けることもできる可能性があります。
銅板屋のデメリット
素材である銅自体が価値のある素材であるため、イニシャルコストもそれ相応の高さになるのがデメリットです。
また、屋根材として使用する場合は0.5mm以下と非常に薄いことが多いため、デリケートな扱いが必要です。
また、留めつけの釘などは相性の良い素材を使わないと劣化が進むため、扱い方を良く知っている業者を探し出す必要があります。
今日のまとめ
屋根は外壁に比べても、過酷な環境にさらされるため、どの素材を採用するかは重要なポイントになります。
デザインや価格を優先することも間違いではありませんが、素材の特徴をしっかり把握し、耐久性やメンテナンスにかかる費用も含めて検討することをおすすめします。
また、コストもそれなりにかかる部材なので、疑問があれば信頼できる専門家に相談し、後悔しないように屋根材選びをしてください。