注文住宅を建てる時の工務店の選び方
工務店の選び方
工務店選びは、ハウスメーカーや建築家を選ぶときより慎重になる必要があります。
なぜなら、工務店はハウスメーカーなどに比べて信用を計る基準や情報が乏しい傾向にあるからです。
さらに、工務店によって業態や職能、経営意識がまちまちで、建築家のように純粋に「相手を選ぶ」ということに集中できないからです。
注文住宅の依頼先を決めるときに一番最初に思い浮かべる要素はプランと金額の安さだと思います。
プランは実際に住む家の青写真なので重要なのはもちろんですが、金額の安さは重視しすぎると危険な要素となります。
工務店の監理は自社内で行われるので、いったん契約をしてしまうと実際の工事内容は建て主には見えてきません。
残念なことに、とりあえず安い見積もりを提示して施工を受注し、工事段階で手抜きを行ったり追加工事を理由にして金額を吊り上げる悪徳な業者も少数ながら存在するのです。
上記の理由から、工務店選びを成功させるには、金額面だけでなく信頼性や担当者との相性、実績、技術力、保証内容を総合的に判断して選ぶことが非常に大切になってきます。
業態
工務店と一口にいっても、その業態はさまざまです。 (工務店とはを参照ください)
工務店はその業態によってメリット・デメリットが異なり、各工務店の業態が自分の希望に合っているかをあらかじめ確認する必要があります。
業態をきちんと把握しないと、打ち合わせを重ねるにつれて自分が希望しない工法や設備を勧められ、余計な出費をせざるを得ないというケースも出てくる可能性があります。
資料を取り寄せたりホームページを読み込んだりして、その工務店がどんな業態で何を得意としているかをしっかり確認しましょう。
それらで情報が読み取れないときは、電話や訪問して確認してみましょう。説明があいまいだったりする工務店は候補から外すべきだと思います。
自社のデメリットを語らなかったからといって即信用できない工務店だと判断するのは早計ですが、工務店の自己認識や経営に対する姿勢を判断するときの判断材料になります。
信頼性
その工務店がどのくらい信用できるかを判断するときのひとつの材料として、完成保証への加入が挙げられます。
完成保証は、一定の経営水準を満たしている工務店だけが受けられる制度で、その工務店が施工中に倒産しても、別の工務店が施工を引き継いで住宅を完成させるという制度になります。
この制度は倒産リスクの高い工務店は加入できないので、信頼性を計るうえで貴重な指標となります。
また、実際に工務店を訪問し、会社の雰囲気、経営者や担当者と話してみるのも方法のひとつです。
その際には、下記のポイントをチェックしてみてください。
・アポイントのときに、初めに電話に出た人が自社名を名乗るか
・事務所内が散らかっていないか
・面会の時間を守るか
・相手を見て真摯に質問に答えようとするか
・頼んでおいたことのリアクションがあるか
これらが「キチンと」できていない会社は、その工務店は候補から外しましょう。
上記に要素に対してキチンと対応できない工務店は、ほぼ間違いなく工事もだらしないものになります。工期を守らなかったり、現場がうるさくて近隣から苦情が来たりとトラブルを招く恐れが高くなります。
また、その会社の経営理念も大切な判断材料です。この理念ひとつで、現場の職人の意識やレベルが大きく変わってきます。
さらに担当者との相性も見逃せません。担当者は家が実際に建つまでの長い時間をパートナーとして付き合うことになり、建て主との相性は少なからず住宅の仕上がりに影響が出てきます。
最後に見ておきたいのは保証体制です。どのような体制をとっているかは、その会社の信用性を計るうえで最も重要な要素のひとつといえます。
工務店独自の保証以上に大切なのが、第三者機関の保証機構や保証会社に加入しているかです。
保証期間や保証会社ごとに保証の内容や種類が異なるので、内容の十分な説明を受けることを忘れないでください。
技術力
その工務店がこれまでに手掛けた建物や施工中の現場をできるだけ実際に目で見てまわりましょう。
このときデザインばかりに注目するのではなく、仕上げの丁寧さや正確さになるべく注意を傾けましょう。
機会があるなら、実際に住んでいる方に建設中や引き渡し後の対応も聞いておきましょう。
工務店と建て主が良好な関係を築けているようなら、建物に対する満足度も高いはずです。
そのほか、建築士や施工管理技士などの技術や、資格を有する技術スタッフを自社で抱えているかも確認することで、工務店が持つ技術力や施工に対する姿勢が見えてきます。
金額
金額はその額面以上に「内容」が大切です。特に総額が安すぎる場合は内容を詳細にチェックする必要があります。
安いことは歓迎すべきですが、モノには値段があるので、不自然に安すぎるのは不安材料でしかありません。
「一式見積もり」を多用し、根拠をあいまいにするのであれば、建て主に対する透明性の意識が低くいと考えられ、大きなマイナスポイントとなります。
見積もりの明細で、こちらのの内容が要望を正しく反映しているかを図面と合わせて必ずチェックしてください。
金額に正当性が見つからないのであれば、カタログや見本を利用しトコトン説明を求めましょう。質問に答えられない、回答までの時間が長い工務店は要注意です。
所在地
工事中や竣工後のアフターサービスやフォローのことを考えると、あまりに遠方な工務店ではもしものときの対応に時間がかかる可能性があります。
突発的なトラブルがあっても、近隣の工務店であれば素早く対応してくれますし、長年その地域で営業している工務店であれば、地元での評価も考慮して両親的な工事も期待できます。
また、建築地が近いと工事管理が行いやすく管理費を抑えることもできるという点で、コストに影響する要素にもなります。