注文住宅の外壁材『サイディング』のメリット・デメリット
注文住宅の外壁を考えたとき、どのサイディングを採用するか迷う人は多いと思います。
〇窯業系サイディング
〇金属系サイディング
〇木質系サイディング
〇樹脂系サイディング
上記のとおり、サイディングは大きく4つに分かれますが、まずはサイディングとは何かかという部分から、それぞれの特徴やメリット・デメリットを紹介したいと思います。
『サイディング』とは
サイディングとは、外壁などの利用される板状の建材を総称したもので、具体的な壁材を指しているわけではありません。
特徴として、工場生産のため品質が均一で、施工性が高いという特徴を持ち、近年利用される率が高まっています。
材質によって窯業系、金属系、木質系、樹脂系に分類され、素材によって性能や価格が異なり、デザインなどのバリエーションが豊富なことも特徴の1つに挙げられます。
新築、リフォーム問わず使いやすい建材であることから、ハウスメーカーや建売住宅をはじめ、多くの注文住宅でも使用されています。
サイディングの種類と特徴
窯業系サイディング
窯業系サイディングはセメントに木質繊維を混ぜ合わせたものが主な原料となります。
表面塗装で耐久性が高まる工夫がされており、最近では光触媒技術などのナノテクノロジーの発達にともない、長期に渡って美観を保つ窯業系サイディングも登場しています。
ショールームや実物サンプルなどで確認すると良く分かりますが、厚いもののほうが本物らしい質感を持ち、防音性や歪みにくさにも優れています。ただ、その分価格も高くなります。
メンテナンスは、サイディング自体の塗装に加え、継ぎ目を充填するシーリング材の劣化にも注意する必要があります。
シーリング材が劣化して隙間ができると、雨水が侵入して躯体に悪影響を及ぼすことがあるので、特に気をつけたいところです。
金属サイディング
金属サイディングは、銅板や亜鉛、鉄板、ガルバリウム鋼板、ステンレス板などを使って金属製仕上げになっているサイディング材を指します。
最近はガルバリウム鋼板の芯に断熱材を詰めたものが販売されており、他の素材に比べると製品自体の断熱性が高いため、快適性を重視する人が良く採用しているようです。
重量が軽く、建物自体にかかる負担が小さいことも特徴の1つで、地震の際に揺れを軽減することで、高い耐震性も発揮します。
足場を組めないような場所でも施工がしやすいため、リフォームなどにも向いている素材といえます。
金属特融のシャープな印象を与えるため、最近ではモダンテイストの注文住宅への使用が増えてきています。
ただし、金属系サイディングにはデメリットも多いため、それを把握したうえで慎重に採用するかを決めてください。
まず、最初に挙げられるデメリットとして、雨音が住宅内に伝わりやすいというデメリットがあります。
また、薄い金属素材であるため、外壁が傷つきやすいという特徴があり、風で飛んできた砂や石、近くに植えた樹木の枝があたることで表面にキズがつくことがあります。
それによってサイディングに施された塗膜が劣化し、外観が損なわれることもあります。
さらに、金属は温度変化で膨張と収縮を繰り返すため、変形する可能性もあります。天候によっては、跳ね返り音や軋み音が発生することもあります。
これ自体がサイディングに大きなダメージを与えることはそうそうありませんが、素材の特性として把握しておきましょう。
また、サビが発生することもあります。銅板のように青緑を形成して防食効果を発揮する素材や、ステンレスなど合金として複合されたなど、素材自体が耐久性を持つタイプもありますが、普及率の高いトタンやガルバリウム鋼板は、表面にメッキ加工することで耐久性を保っています。
トタンやガルバリウム鋼板は、表面のメッキ層にキズがついてしまうと、そこから劣化してサビが発生してしまうのです。
特に海に近い地域では、塩分の多い風を受けるため、一部の損傷でサビによる浸食が一気に進むケースもあります。また、近年の酸性雨の影響も見逃せません。海の付近や酸性雨の影響が強い地域では、採用しないほうが無難だと思います。
一般的な地域ではそれ程気にする必要はありませんが、加工性の良さから切断や折り曲げによって形成されるため、端部や接合部には特に目を配っておきましょう。
金属系サイディングは丈夫な外壁材と思われがちですが、定期的な点検・メンテナンスを怠らないようにすることが大切です。
木質系サイディング
天然の木材を板状に加工したものが木質系サイディングで、現在は主に外壁や軒裏などで利用されています。
そのままでは耐久性が低いため、一般的には塗装をして耐久性を高めて使用されることが多くなります。
天然素材であるため、断熱性や保湿性に優れ、何より見た目の温もりと時間とともに表れる深い味わいを感じることができる外壁材です。
価格は樹種や節の有無、環境対応を考慮した処置などで変動します。
デメリットは、天然木を原料とするため、ほかの素材に比べて耐火性に劣るという点です。
また、木材なのでメンテナンスや維持管理に手間がかかるのも、良く挙げられるデメリットです。
また、風通しの悪いところでは雨に濡れた後乾きにくく、カビが発生しやすくなります。カビに浸食されると、外壁材としての寿命が短くなることがあります。
取扱いとしてはこのように手間がかかる素材ですが、その質感は人の目を引き、楽しませてくれます。
その特徴から、木質系サイディングは、一部のアクセントとして採用されたり、メンテナンスしやすい1階廻りにだけ採用されたりすることもあるので、こういった採用方法も念頭においたうえで、検討してはいかがでしょうか。
樹脂系サイディング
主原料に塩化ビニル樹脂などを使用した外壁材が樹脂系サイディングです。
日本ではあまり馴染みがありませんが、アメリカやカナダなどの住宅では一般的に使われています。
樹脂が原料のため撥水性があり、吸水・吸湿性がほぼないため、水分が原因となる劣化が起こりにくいという特徴があります。
また、シーリング材を使わない工法も確立しているので、目地の補修を必要としません。塩化ビニルは燃えにくいという特徴もあるため、防火性にも優れています。
一般的な窯業系サイディングに比べ、重量も1/10と非常に軽く、既存の壁の上からでも取り付けられるので、リフォームにも適しています。
ただ、樹脂が原料ということもあり、重厚感や高級感を演出しにくいというデメリットがあります。
また、日本での普及率が低いため、取扱業者が少なく、ほかの外壁材に比べてバリエーションが少ない傾向があります。良く見られるのは、白やパステルカラー、型押しされたレンガ調や石目調のものです。
薄い素材であるため遮音性が低く、断熱材と併用して遮音性を高めるのが一般的です。
樹脂は紫外線に弱いと思われがちですが、実際は混和剤などの効果で耐久性が高くなっています。
ただ、基本的に樹脂は紫外線によって硬化し、ひび割れが起こりやすい傾向があるため、採用する時はUV対策などをきちんと確認しておきましょう。
今日のまとめ
サイディングには、さまざまなデザインや性能があり、それによって価格が大きく変動します。
たくさんの選択肢から資金計画や好みに合わせて選べるようになり、汎用性に優れた素材といえます。
特殊な事情やこだわりなどがない限りは、外壁サイディングは大きな失敗をしにくい素材といえるでしょう。