設計事務所による見積り調整
注文住宅の見積もり調整
設計事務所による見積もり調整の期間の目安は、一般的に2ヶ月程度ですが、予算をオーバーしている場合は、さらに予算調整を行う期間を設ける場合もあります。
実施設計完了後に工務店に依頼した見積もりが集まったら、まずは建築家が図面で指示した内容が見積もりに正しく反映されているか、ミスがないかの確認を行います。
建築家が見積もりをチェックすることで、見積もりを出した工務店が工事の内容を正確に理解しているかが分かります。
図面を正しく理解していない場合は、図面通りの施工を行うことはできないので、その工務店は候補から外れることになります。
また、建築家は各社から提出された見積もり内容を比較検討できるように、工務店ごとに異なる項目や単価の表記方法を整理します。
場合によっては、見積もり総額が予算内に収まっていても指示した内容が見積もりに含まれておらず、別途工事になっていることがあるからです。
あくまで一般論ですが、初回の見積もり額は予算を10~15%程度オーバーするケースが多くあります。
設計途中では、どうしても要望が膨らんでくるもので、「この内容で予算内に収まっていればラッキー」という認識で、建築家もある程度は予算をオーバーすることを想定して見積もりを依頼しています。
予算の超過分は、建築家と建て主で相談しながら仕様を見直していきます。
また、それと同時に工務店にも使用したい素材と似たものでもっと安価なものがないか、工事を効率化して運搬費や工賃を圧縮できないかの検討をしてもらいます。
この時、もし予備費を持っているのなら、仕様を落とさず予算を増やすという選択肢もあるので、最終的に予備費を投入するかを慎重に検討してください。
ただし、見積もり額が予算をあまりにオーバーしている場合は、表面的な仕様の見直しで調整できる範囲を超えているので、基本設計に戻って図面を一から書き直さなければならない可能性もあります。
経験の浅い設計事務所だと、予算の見立てを誤ったプランをもとに設計を進めてしまうこともあるので、その場合は、その設計事務所への依頼をキャンセルすることも視野に入れなければいけません。
また、新しい工法や特殊な工事が含まれる場合、工務店がリスクを恐れて余裕を持った金額を提示することがあり、予算をはるかに超えてしまうことがあります。
その場合は、建築家が工務店に対して工事の内容をより細かく説明することで見積もりの精度が上がり、予算に近づく可能性があります。
初回の見積もりが集まった時点で浮き上がった不安要素を検討し、工務店に見積もりを依頼します。納得できる範囲の見積もりが出揃ったら、候補に残っている工務店の中から施工を依頼する工務店を選定します。
この時点でも、工務店ごとに見積額は異なると思いますが、価格が一番安いという理由で工務店を選定することはやめてください。
費用はもちろん大切な判断材料の一つですが、会社の施工に対する姿勢や技術力を総合的に判断して選考を行うことが何より重要です。